内容説明
軍艦島―独特の景観を持つその廃墟は、国家にとって近代化の威信の証しであり、地域にとってはアイデンティティの源泉、時には失われたものへのロマンティシズムの対象として扱われ、そして今や人類的な歴史遺産となろうとしている。産業遺産をめぐる重層的な「表象実践」(意味づけと活用の営み)を世界の炭鉱遺産の比較の中で論じる好著。
目次
「遺産」化現象と現代社会
第1部 文化遺産とその表象(文化遺産とは何か;廃墟から文化遺産へ;労働文化の文化遺産化とその問題)
第2部 炭鉱の記憶と遺構(日本の産炭地の経験をめぐって;炭鉱遺構・遺物の展示と表象―歴史と事例;文化遺産保存の場における記憶のダイナミクス―社会学的記憶論の再検討を通じて)
第3部 軍艦島―日本の産業遺産と「地元」住民による表象実践(「軍艦島」への多様なまなざし;「地元」の創出―軍艦島と地域社会;地域社会における軍艦島の活用;リスケーリングされる炭鉱の表象)
産業遺産は社会に何をもたらすのか
著者等紹介
木村至聖[キムラシセイ]
甲南女子大学人間科学部准教授。1981年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学、日本学術振興会特別研究員等を経て、現職。博士(文学)。専門は文化社会学、地域社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nobuko Hashimoto
18
今度授業で発表してくれる本なので私も予習。サブタイトルにある軍艦島については、最後の1/3くらい…。そこまでは、産業遺産とは、文化遺産とは、廃墟が注目されるようになった歴史的な経緯、日本の炭鉱史、イギリスやドイツの炭鉱跡の遺産化の事例や日本全国の炭鉱関連のミュージアムの紹介などが述べられ、さらに記憶論の先行研究の再検討が挟まって、ようやく軍艦島の事例研究に至る。軍艦島のパートは現地視察や聞き取りなどが盛り込まれ、オリジナリティと「生(なま)」感がある。2021/01/20
takao
1
ふむ2021/06/29
onepei
1
ウラ話?がいろいろ。博物館の章が興味深い。2015/01/31