内容説明
食客は技術たりうるか?哲学との優劣やいかに?韜晦と諧謔に溢れた著者の面目躍如。本邦初完訳。
目次
カロン(第二十六篇)
哲学諸派の競売(第二十七篇)
甦って来た哲学者(第二十八篇)
二重に訴えられて(第二十九篇)
供犠について(第三十篇)
無学なくせにやたらと本を買い込む輩に(第三十一篇)
夢またはルキアノス小伝(第三十二篇)
食客(第三十三篇)
嘘好き人間(第三十四篇)
著者等紹介
丹下和彦[タンゲカズヒコ]
大阪市立大学名誉教授。1942年岡山市生まれ。1970年京都大学大学院文学研究科博士課程中退。2005年京都大学博士(文学)。和歌山県立医科大学教授、大阪市立大学教授、関西外国語大学教授を経て2014年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
39
2世紀のローマ帝国の時代に書かれた風刺の効いた作品9編を収録。ゼウスが哲学者たちを競売にかけたり(「哲学諸派の競売」)、その作品を書いた作者らしい人物が哲学者たちから追い回されたり(「甦って来た哲学者」)するメタ視点で書かれた作品もある。また「無学なくせにやたらと本を買い込む輩に」という耳の痛い題名の作品もある。ギリシア神話やヘロドトスの「歴史」を知っていれば、さらにニヤリとできる箇所も増えるはず。「嘘好き人間」で作者が批判したような人物には今も目にする。楽しい読書体験ができた。2021/03/02
roughfractus02
8
作者が属した第二次ソフィストは、聴衆を楽しませるエンタメ的要素がそれ以前のソフィストより顕著だったという。作者はさらに一歩踏み出して哲学の対話と聴衆を魅了する弁論術の美を喜劇的な笑いと罵倒の中に放り込む。それゆえ擬人化した弁論術と対話の双方から訴えられるのだが(「二重に訴えられて」)、むしろ人には哲学より金持ちに阿って取り入る生き方の方を生きるために必要な技術だと言い放つ(「食客」)。作者の喜劇を散文化することを通して、世界や国家を劇場で語る韻文形式の対話と弁論術を、個々人が部屋で読む教訓や風刺に変えた。2022/06/19
刳森伸一
5
風刺文学作品を9篇収録。非論理的なデマを流す人や、半可通哲学者などが槍玉に挙げられている。語りは、皮肉的だが軽妙洒脱であまり嫌みを感じさせない。そのためゲラゲラと笑っていられるが、ふと自分も嗤われている対象だと気付かされてブルーな気分に・・・2015/07/27
さりー
3
奇抜でほんと好き 2019/04/11
my
1
全篇めっちゃおもしろかった…… ギリシア時代に書かれたこれら対話篇があればこの世は十分なのでは?2020/05/14