内容説明
新自由主義は、途上国における超インフレの解消等、一定の成果を挙げたものの、多くの国で格差を拡大させた。なぜ、かくも新自由主義は世界を席巻したのか。冷戦下でのアメリカの戦略として強力に導入された南米、社会主義崩壊後の「空白」地帯への浸透として広がった東欧を舞台に、政策化し実行したアクターたちのリアルな姿を分析し、新自由主義を歴史化する。
目次
ネオリベラリズムの比較研究―意義と目的
第1部 自由主義指向経済学の伝播(「グローバル・リベラリズム」とロシア―上からの啓蒙の実験;「シカゴ・ボーイズ」とチリ―ネオリベラリズム「理念」の形成と浸透)
第2部 政治過程に対するネオリベラリズムの影響(過去の克服としての「新自由主義なるもの」―エストニアの社会正義観と改革党の成功;スロヴァキア政党政治における「第二世代改革」―遅れてきた新自由主義の「成功」と「定着」;中東欧諸国における「ネオリベラリズム的改革」の実際―「さらなる改革」が求められるのはいかなる時か;ネオリベラリズムと政党―ラテンアメリカの政治変動;新自由主義の功罪と「左傾化」―背景と実際)
第3部 ネオリベラル的経済運営の実際(ロシアにおける私有化政策―「資本主義企業化」の実態;ブラジルの新自由主義―「幸運な自由化」はなぜ可能だったか;「ネオリベラリズムの実践」を比較する―複雑な現実から見えてくるもの)
著者等紹介
村上勇介[ムラカミユウスケ]
1964年生まれ。京都大学地域研究統合情報センター准教授。ラテンアメリカ地域研究、政治学専攻
仙石学[センゴクマナブ]
1964年生まれ。西南学院大学法学部教授。比較政治学、中東欧比較政治経済専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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