目次
第1章 十七世紀末イングランド常備軍論争―商業と国制
第2章 帝国と自治の関係をめぐって―チャールズ・ダヴナントの北アメリカ植民地論を中心に
第3章 統治学と商業の精神
第4章 分業と位階秩序と権力の連関をめぐって
第5章 初期近代における利己心論の系譜
第6章 政治社会と個人の葛藤―自由の基礎をめぐって
第7章 一七四〇年代の自然観の転換―自然誌・言語・分業
第8章 十八世紀中葉における文明社会史観の諸相―チュルゴ、ミラボー、スミス
第9章 アダム・スミスによる経済主体の発見
終章 アダム・スミスにおける経済と統治―結語に代えて
著者等紹介
野原慎司[ノハラシンジ]
1980年大阪府生まれ。2004年京都大学経済学部卒業。2010年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程研究指導認定退学。2012年同課程経済システム分析専攻修了。京都大学博士(経済学)。現在、京都大学大学院経済学研究科・関西大学経済学部・甲南大学文学部・京都第一赤十字看護学校非常勤講師。専攻は経済学、経済学史、社会思想史、経済・社会哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mealla0v0
5
政治社会とは異なる経済社会(「社会」)を見出したスミスが目指したのは統治学の創立であった。スミスの時代は度重なる戦争と革命を迎えた戦時体制にあり、戦費調達のための財政改革と軍事革命、そして植民地経営が必要とされ始めた時期であった。その際、統治は如何に自由を確保するのかが課題となった。本書は、常備軍論争、スミスの前哨となる分業論や商業の位置づけを検討しながら、スミスの統治学の画期を印す。ケンブリッジ学派の蓄積を統治性研究に接続する研究で、しかも日本語で読めるという意義は大きい。2022/09/12