内容説明
アッティカ十大弁論家の一人アイスキネスは前4世紀にアテナイで活躍、マケドニア王ピリッポス2世からの収賄嫌疑を巡る宿敵との政争に敗れ、売国奴の烙印を押されて流寓の裡に世を去った。その功績は長らく閑却されてきたが、近年は再評価の気運も高まっている。本書には3篇のみ伝わる法廷弁論すべてを収録。本邦初訳。
目次
第1弁論 ティマルコス弾劾
第2弁論 使節職務不履行について
第3弁論 クテシポン弾劾
アイスキネスの古伝「伝記」
著者等紹介
木曽明子[キソアキコ]
大阪大学名誉教授。1936年満州生まれ。1967年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。大阪大学、北見工業大学教授を経て2002年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
4
親マケドニア派の著者は、アテナイ自立を訴えるデモステネスに敗れてロードス島へ追放される。が、その対立構図より興味深いのは、一つの法廷における原告被告の弁論が残っている事実であり、私的恨みを公に扱うアテナイ法廷の独自性であり、市民を誘導する際の優位な弁論術の仕掛けが後年の読者にも見渡せる点にある。即興に長け、アテナイとマケドニアの交渉に尽力した著者が敗北するのは、即興的な繰り返しを主とした著者の弁論が、悲劇の語群を駆使して市民を魅了するデモステネスの展開に比較して単純かつヒステリックに聞こえたからだという。2019/08/08
-
- 電子書籍
- 絶代武神~伝説の始まり~【タテヨミ】第…