内容説明
待望の『食卓歓談集』が登場。本書冒頭に置かれた問い「宴席で哲学の議論をしてよいか」に対する肯定的な答えを前提に展開される全9巻95(現存83)論題は、「なぜ恋は人を詩人にするのか」「鶏が先か卵が先か」「ユダヤ人が豚を食べないわけ」「アルファがアルファベットの初めにある理由」など、哲学のみならず歴史・文学・医学・自然科学・慣習ときわめて多岐にわたっている。本邦初完訳。
目次
宴席で哲学的議論をしてよいのか
招待者のほうが客の席を決めるのか、それとも客が自分で席を決めるのか
宴会で執政官の席と言われる場所が、栄誉を得る理由はなんであるか
宴会の世話役はどのような人物でなければならないのか
どうして「恋は、人を詩人にする」と言われるのか
アレクサンドロス大王の大酒について
老人が強い酒を非常に好むのはなぜか
老人が書面をより遠く離して読むのはなぜか
なぜ衣服の洗濯には海水より淡水がよいのか
アテナイでは、アイアンティス部族の合唱隊が、けっして最下位の判定をうけないのはなぜか〔ほか〕
著者等紹介
松本仁助[マツモトニスケ]
大阪大学名誉教授。1927年大阪市生まれ。1951年京都大学文学部卒業。同志社大学教授、大阪大学教授、大阪学院大学教授を経て2002年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
食卓は対話の場であり、酒を飲んで議論することは個々の徳を試す機会でもある。師と弟子の対話の形式で一見些末な話題が議論される本書は、宴会でのマナーに関する話題から(「宴席で哲学の議論をしてよいのか」)、人間の傾向(「なぜ恋は人を詩人にするのか」)、哲学的な問い(「鶏が先か卵が先か」)、医学的な問い(「なぜ秋には空腹を感じるのか」)、理由が不明の言い伝え(「凶眼について」)等に至る答えのない対話で占められる。個々人の品性の交流と終わりない議論が饗宴(Συμπόσιον/シンポジウムの起源)としての世界を作る。2019/06/22
神楽坂中の湯
1
読めば普通に今でも役に立つ、タメになる箇所と、そうではない箇所があるけれど、そうでなくても当時はそう考えられていたんだなと思うとなかなか面白い。図書館で借りたが買おうかな。2014/12/03