内容説明
神とは、時間とは、善とは、幸福とは―諸学における独断論の浄化剤、今ここに待望の完結!本邦初訳。
目次
学者たちへの論駁第九巻 自然学者たちへの論駁第一巻
学者たちへの論駁第十巻 自然学者たちへの論駁第二巻
学者たちへの論駁第十一巻 倫理学者たちへの論駁
著者等紹介
金山弥平[カナヤマヤスヒラ]
名古屋大学大学院文学研究科教授。1955年島根県生まれ。1986年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(文学)。2000年京都大学文学部助手、名古屋大学助教授を経て現職
金山万里子[カナヤママリコ]
大阪医科大学教授。1942年北京市生まれ。1975年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。2005年京都大学文学部助手、大阪医科大学助教授を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
3
自然学者と倫理学者への論駁は、日常を抽象化する彼らの方法を対象とする。この物が物体一般となり、静と動(作用)が抽出され、時間と空間が抽象化され、その原因を神とする自然学者に対し、懐疑主義は、原因を作って逆向きに世界を部分/全体に再構成する彼らの方法(ピュタゴラス派の類比等)が知覚世界から乖離する様を露わにする。一方、善悪や幸福を測る基準が個人的好悪を超える点を倫理学者に指摘する懐疑主義は、自然本来に善いものがあるはずだと信じれば不幸になり、善いものを得て悪いものを斥ける人は幸福になるという結論を導出する。2017/03/07
脳疣沼
2
神々は存在するか?とかは楽しく読めるが、"物体について"とか、"原因と作用について"とかは、もうやめてくれと言いたくなる。結局、なんとも言えない、というのが結論であり、あーでもこーでもないとずらずらと書き連ねるのだが、読む方は飽きてしまう。しかし、倫理学者たちへの論駁、はとても面白かった。仏教のようである。教条主義的に物事を考えるから苦しむのであって、物事を懐疑的に考えて決め打ちをやめれば動揺せずに済むという話だが、日本人に受けそうな考え方だと思う。2015/10/13