内容説明
日常的に経験する身近な問題から出発し、読者を哲学へと誘う珠玉のエッセー九篇。
目次
いかに敵から利益を得るか
多くの友をもつことについて
運について
徳と悪徳
アポロニオスへの慰めの手紙
健康のしるべ
結婚訓
七賢人の饗宴
迷信について
著者等紹介
瀬口昌久［セグチマサヒサ］
名古屋工業大学助教授。１９５９年兵庫県生まれ。１９９１年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。１９９４年名古屋工業大学講師を経て現職。２０００年京都大学文学博士
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感想・レビュー
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いとう・しんご
8
執筆時期もテーマも形式も多様な９編を収録。「不相応な幸せは、 愚か者が誤った考えに陥る契機となる」Ｐ５０とか「たいていの場合、値の安い物の方が身体には健康的であるということだ」p128とか現代にも通ずる警句が興味深い。ユダヤ教徒の安息日を、他の異教の習慣とともに、神の愛を疑う「迷信」と評価しているのも面白かったです（「迷信について」Ｐ２７０）。2024/02/05
roughfractus02
7
近代のエッセイ(essai)というジャンルの成立に影響したという本書は、essai(試み)=経験すること/経験したことをテーマとして語るに相応しいそのスタイルを作り出したようだ。合理的な主張の強い本巻では、特に「健康のしるべ」で、哲学の抽象的世界観を非難したヒッポクラテスの経験派医学を背景に、現実的・合理的な知によって世界に処する著者に出会える。医学は世界への対処法であり、その合理性は自然(φύσις/前巻の教育では「素質」)に従うことから生まれ、実践を通じて経験を積む知を獲得することが市民の徳とされる。2019/06/16
