内容説明
ミステリアス・ノンフィクションあり、ハードボイルド風タッチあり、そして本格的推理小説スタイルあり―。綿密なフィールド探査をベースに、多彩なレトリックで、生態学の謎と未知に挑戦しつつ、同時に生態学の現在的論理と共通感覚を構築せんとする。
目次
第1章 個性とはなにか
第2章 個性を重視しなかった生態学
第3章 動物の行動と社会
第4章 動物の行動・生態に見られる多様性
第5章 カワムツの社会と個体
第6章 個体差・個性をどう考えるか
第7章 個別生態論の地平
第8章 過去から未来へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takahiroyama3
1
個性がどのような意味を持つのか、生態学に立脚して考える一冊。まずは土台となる生態学が、統一原理の発見を探究する点を課題と指摘し、本書では個性を見出す方法として「個体モザイク論」を提唱する。これは、いくつかの方眼紙に個体の持つ特性をプロットし、それを結んでパターンを見出すという方法である。そして、こうした方法を通して目指す未来について、「社会的便益を高めることではなく、ありとあらゆる個性を尊重し、例え全体社会の効率が低くなるとしても個人を抑圧することのない仕組みを作る」とのべ、個性を考える意味を発する。2019/11/27