出版社内容情報
交通事故に遭い、生死の危機から脱出した青年は、意識を取り戻すに連れ、完全に言葉を失っている自分を発見して呆然とする。自分の名前さえ思い浮かばないのだ。
その後、失った言葉を取り戻すため、思いつくあらゆる手段を使って必死の努力を重ねていく。幼児向けの「こくごえじてん」に始まり、映画「2001年宇宙の旅」のパンフレットを読解・・・・・・と。訓練中、言語能力の“劣った”自分に嫌気をさすことは幾度もあったが、精神の復元力を失うことはなかった。なぜなら、孤独で単調な訓練を重ねることによって一つずつ単語を再獲得することが、社会に歩を進めるための選びようのない試金石だからである。
やがて、言語訓練教室で関わってくれた医療職との篤い出会いは、著者に言語聴覚士の夢を育んでいく。
1章 闘病記
悪夢/交通事故/ことばの闇/記憶も喪失/言語治療開始/試される屈辱/とりあえず退院/できる喜び/負けてはいられない
2章 ことばがほしい
復学したものの/白紙の答案/理解者を求めて/失語症とは孤独病?/劣った自分への怒り/見えない未来/試験場にて/ストレスを溜めて
3章 失語症に誘われて
親友との別れ/人生の主人公は/就職活動/運命の出会い/私が言語聴覚士に?/遠藤先生を訪ねて/水を得た魚のように
4章 言語聴覚士として
言語聴覚士一年生/大阪、そして鶴岡へ/山梨にて新展開/国家試験/STの仕事とは/運命の網膜剥離
5章 愛しき失語症者
愛のムチ/ことばを超えて/発話意欲は環境から/失語症の受容へのサポート/失語症者と仕事
6章 私の選んだ道
「生きていてよかった」と言うために/訪問STの役割/再度、言語訓練の目的は?/若い失語症者の活動/あえてSTに伝えたい
失語症者はひたむきである。
大学生の時に脳外傷を負った著者もまた、新生活を模索した20年の道のりを通じてそのことを伝えてくれる。(帯のコピー 遠藤尚志)
内容説明
失語症になってしまった方に短期間の治療を試みただけで、「これ以上回復する見込みはありません」と訓練をうち切るのは、大きな間違いを犯していることになる。大学生の時に脳外傷を負った著者の、新生活を模索した20年の道のり。
目次
1章 闘病記
2章 ことばがほしい
3章 失語症に誘われて
4章 言語聴覚士として
5章 愛しき失語症者
6章 私の選んだ道
著者等紹介
平沢哲哉[ヒラサワテツヤ]
1961年、山梨県牧丘町生まれ。1985年、青山学院大学文学部教育学科卒業。1987年、STとして病院に勤務。1988年、大阪教育大学教育学部言語治療研究生を経て、山形県、山梨県の病院に勤務。1999年言語聴覚士免許取得。2003年、病院を退職し、在宅言語聴覚士として失語症者の訪問ケアを展開。地域での失語症者への援助を積極的に行っている。「山梨県失語症友の会連合会」および「東山地区失語症友の会」事務局長
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