内容説明
世界的な国民国家のシステムが、いま崩壊に向かって動き始めた。これからの歴史教育においても、もはや「自国史」や「国民史」といったせまい枠組みを乗り越え、「人類史」を展望しながら、まずは東アジアそしてユーラシアへと、自分たちを包みこんでいる地域と世界にどのようにかかわっていくかが、いま問われている。
目次
序論 行き交う歴史教育・携える歴史像をめざして
第1部 新しい歴史教育の教材開発と実践(「原爆ギャップ」の克服をめざして―対立する公的記憶と歴史教育;戦後補償裁判に描かれたアジアの個人史;教員養成大学における歴史教育―「東アジア史」教育の実践的提案とその意義)
第2部 歴史教科書を分析・構成・展開する視点(大日本帝国の東アジア史教育―国民学校教科書『初等科国史』の考察を通して;高校日本史教科書の新しい動向と成果―世界史と〈世界からのまなざし〉を意識して;高校世界史における東アジア史学習を考える)
第3部 アジアとヨーロッパを結ぶ歴史的思考(一五~一七世紀アジアとヨーロッパの中心・周辺意識―歴史教育・歴史的思考の多元性を考える;ある画学生の世界風景―アジアとヨーロッパが混交する現場;歴史的思考力の形成空間としての東アジア)
著者等紹介
加藤章[カトウアキラ]
1931年、岩手県生まれ。盛岡大学長
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