内容説明
いま、すべてを話す。国鉄分割・民営化に名を借りて政府・当局が強行した、組合つぶしの全貌を、ともに闘うべき人たちの裏切りと介入のすべてを。労戦の右傾化が進行する今日、闘う労働者の団結と統一のために、あの修善寺大会の意義をひきつぎ、人としての誇りを掲げて、新しい労働運動の創造を呼びかける。
目次
序 K君への手紙
1 私の国労人生
2 権力の構図を撃つ
3 修善寺の青い空
4 組織攻防戦と屈辱の2月16日
5 国鉄がなくなる日
6 この歩み阻めず
終 ふたたびK君への手紙
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スズキパル
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国鉄の他労組が労使共同宣言を結び、国労が孤立を深める中、著者は雇用確保のための妥協を図る山崎執行部に反対し、修善寺大会で執行委員長に就任した。人活センターで冷遇される組合員に寄り添いつつ、方針転換を慫慂する社会党や総評に対し抵抗を続けたが、国労の没落や孤立化は避けられなかった。総評の右傾化に対する恨み言が多いが、企業内組合の枠にとらわれ、「本務」に執着するあまり、関連産業の労働者や社会とのつながりを軽視しがちだった国労の体質に対する自省も行間に滲む。秋山謙祐「敗者の国鉄改革」と比較するのも面白い。2022/11/05
ディスカバ
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総評の右傾化、連合の誕生、労使協調路線。労働組合と政治にとって大きな変革の時代だったのだろう。国労は運動方針を信じて労使協調路線をとらず突き進んだ。その結果を、今の状況を見て総括をした場合どのようなものになるのだろうか。活動家と組合員では目指すべき方向に差異があり、活動家以外は離れていってしまったのではないだろうか。労働者を慮る原則的な方針とフラクションの舵取りは難しい。固執せず柔軟にと思うが、それはそれで大きな批判があるのだろう。 組合運動が盛さと衰退が分かる1冊。2021/01/23