内容説明
前著『ゲンダーヌ―ある北方少数民族のドラマ』で、毎日出版文化賞を受けた著者が、ゲンダーヌのふるさとサハリンを訪ね「オタスの杜」をはじめ、戦前・戦中には一般人の立入ることのできなかった、北緯50度線(旧、日ソ国境)に踏み込み、さらに北上してノーグリキからワル、そして北端のオハからネクラソーフカと記録に残されていない先住民(少数民族)の歴史と生活を体得する。ゲンダーヌ(ウィルタ)がなくなって10年。著者の想いは国家間の戦争によって翻弄されたサハリン先住民族の戦後処理と復権にある。
目次
天皇と少数民族
「ゴシプシェイ!」
ゲンダーヌの「三つの夢」
北緯50度線の旅
ウィルタ、ニブヒの自立と「先住権」
ウィルタの「教育」について
ウィルタと私
サハリンとクリル(千島)問題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
1
「ゲンダーヌ」の続編であり、本人の死後に協力者であった著者がサハリンに関係者やゆかりの土地を訪ねて歩く紀行文的内容とゲンダーヌとの思い出が内容の中心。ゲンダーヌ達ウィルタ人の文化を保存するための施設が関係各位の尽力で設立されるが、その館長になったゲンダーヌは組織の運営に四苦八苦。所有や経済という概念に疎いウィルタ人の価値観はどうにも日本社会とは折り合いが悪く、著者もそれを尊重したいと思いつつ、施設の運営という現実の前に「ウィルタに戻ろうとするゲンダーヌを日本人に引き戻してしまう」もどかしさを感じていた。2017/07/04
ななな☆
0
ウィルタの文献2冊目。ゲンダーヌ以外の話もわかって、もっと調べたくなった。2010/11/03