内容説明
グローバル化した国際社会にあって、今否応なしにわたしたちの関心を惹きつけるもののひとつに、国民国家体制の世界的な動揺という問題がある。本書は時代に即応した研究を目指す「弘前大学国際社会研究会」という教官集団の寄稿からなる。当研究会は平成10年から「国民国家の動揺」を共通テーマに共同研究を進め、国民国家にかかわる問題に対して歴史的、地域的理解を深めてきた。その成果はすでに平成10および11年度「弘前大学人文学部教育研究プロジェクト報告書」で公表済みである。寄稿者の大部分は、この度の出版に当たって、上述の成果をシンポジウムや合評会による再考の機会を介して再検討し、本書の原稿として持ち寄った。
目次
第1部 国民国家の理念とその行方(国民国家の動揺とその意味;独仏抗争と二つの国民論)
第2部 アジア・アフリカにおける国民国家の諸問題(スリランカの民族問題と国民国家;近代的民族の特質 ほか)
第3部 国民国家の歴史的諸問題(近代世界システム論の射程―重商主義の位置づけをめぐって;作家ゾラをとおしてみたナショナリズムの変質 ほか)
第4部 言語とナショナリズム(The Deaf,American Sign Language,and Assimilation Movement in The United States)