内容説明
ルネサンスを彩った天才から凡才まで、80人の芸術家の数奇な物語。
目次
第1部 ルネサンスの光の中に(レオナルド・ダ・ヴィンチ―制作の遅れは芸術家の証?;ピエロ・デッラ・フランチェスカ―絵の中の注文主;ペルジーノ―注文主の希望に翻弄された画家 ほか)
第2部 アルプスを越えて(アルブレヒト・デューラー―ドイツから来た若き名手の速筆;ルーカス・クラーナハ―制作をシステム化したドイツの匠;ハンス・ホルバイン(子)―イギリス国王を魅了した北方ルネサンスの写実画家 ほか)
第3部 芸術家の矜持を胸に(ソフォニスバ・アングィッソラ―古代画家の再来を演じた女性肖像画家;ヤーコポ・デ・バルバリ―技量より学識を;ロレンツォ・ギベルディ―コンペティションに勝利した気配りの彫刻家 ほか)
著者等紹介
秋山聰[アキヤマアキラ]
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。ドイツ・フライブルク大学にて博士号取得。東京学芸大学助教授、電気通信大学助教授を経て、東京大学大学院人文社会系研究科教授。主な著書に、『デューラーと名声 芸術家イメージの形成』(中央公論美術出版、地中海学会ヘレンド賞、日本学術振興会賞受賞)、『聖遺物崇敬の心性史』(講談社メチエ、サントリー学芸賞受賞)等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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田中峰和
4
ルネサンス期の芸術家80人が紹介される。この時期、画家や芸術家の概念は確立されておらず、依頼を受けて作品を仕上げるのが一般的だった。デューラーのように金細工師の息子から画家になった例が多いのは、芸術家の職業が確立されず職人に近かったせいかもしれない。デューラーは当時の常識からしても破格の短い時間で完成させ、その速筆ぶりを誇示したのも、職人としてのプロ意識なのだろう。逆に際立って遅かったのはダ・ヴィンチ。膨大な数の素描が残されているのに対し、完成品は驚くほど少ない。この作画態度こそが彼の天才に起因するのか。2018/04/01