内容説明
“夜八時を過ぎたら、子どもはベッドにいなくてはならない”―そんな法律がある街で、ある夜、ネコを探しに街に出たふたりの子ども。夢の中で、未来の弟に出会う女の子。「化石の王」の呪いで眠れなくなってしまったぼうや。木のてっぺんで、カラスの親子に見守られて、夜を過ごす赤ちゃん…。おやすみの時間、夢、目覚め―「眠り」をめぐるイメージに子守歌、童謡をちりばめてくりひろげられる、心の奥深くにそっと呼びかける、八つのファンタジー。小学上級から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カフカ
45
最近ハマっているジョーン・エイキン。多作で数多くの作品が刊行されているのでどれを読もうか悩んだのですが、先月読んだ「ぬすまれた夢」がかなり好みだったので、同じ出版社から刊行されているこちらを読むことに。今作の挿絵はヤン・ピアンコフスキー。全て影絵のように描かれているので、ダークで奇妙な味わいが強い。ただ内容はいつものようなダークさは控えめ。〈眠り〉をテーマにしており、各篇で子守歌が登場し、眠気を誘う静かな話が多かった。でもエイキン特有の奇妙さは変わらず健在。今回も奇妙な世界に誘われました。2022/02/06
小夜風
30
【図書館】「眠り」をめぐるファンタジー。夢見心地で曖昧なお話が多く、読み終わっても意味が判らないままに余韻に浸る……そんな本でした。エイキンさんとヤン・ピアンコフスキーさんの組み合わせは本当に素敵♪読んでいる間中キラキラとオルゴールの音色が聴こえてくるようでした。2015/10/13
topo
6
夜、夢、目覚めなど眠りを描いた八篇。不思議で詩的でどこからともなく讃美歌が聞こえてきそうな物語が、一日の疲れを優しく癒してくれる。ふわふわとした結末が深い余韻を残し心の奥底を静かに揺蕩い、良い眠りが訪れそうな一冊。 法を犯して空想の猫を探しに街に出る『夜八時を過ぎたら・・・』、 神秘的な『緑のゆりかご』、 幻想的な『クッションを縫えますか』、 音楽的な『四人の天使』 が特にお気に入り。 どのお話も自分なりの解釈や想像を巡らすのが楽しい。 ヤン・ピアンコフスキーの影絵風挿絵も素敵。巻頭のカラー版にうっとり。2021/01/28
ヴェルナーの日記
6
「心の宝箱にしまう15のファンタジー」と同じ、画家ヤン・ビアンコフスキーの挿絵をたくさん盛り込まれ、本の題名である「夜八時を過ぎたら…」をはじめ、8つの短編が編まれた作品。ヤンのカラフルで影絵的なイラストを入れたことによって、エイキンの作品により幻想的(ファンタジー)な要素が強く押し出された独特な雰囲気を醸し出し、味わい深い作品集になっている。2013/10/19
ゆるり
5
夜8時を過ぎたら、子供はベッドに入っていなければならない、という法律のある街で。夜中に猫を探しに出た子供達は…というお話が表題作。いくつかの短編童話集だが、どこか不思議な雰囲気のお話が多いです。はじめはとっつきにくかったけど、慣れてくると、だんだん癖になるような?そんなお話たちでした。2024/08/12
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