内容説明
これは映画化もされたマヌエル・プイグのベストセラー小説『蜘蛛女のキス』の、作者自身によって劇化された台本である。刑務所の小さな監房という脱出不能な空間に男が二人閉じこめられている。一人は若いブルジョワ育ちの革命家。もう一人は母親想いの中年のホモの男。その境遇においても思想においても、極めて異なる二人の男の、孤独で退屈な時間を取り持つのが、映画の話である。作者は映画の話を起点に、二人の男を巧みに愛に導き、別れと死を用意する。そして観客はその2人の間に流れた、魅力的で不思議な、豊かな時間を体験する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふゆきち
2
元々の小説が会話主体のため要約版のような戯曲版。エッセンスが詰まっています。2025/04/01
あみん
2
映画見て小説読んだ直後だったのでスルスル読めました。映画、小説、劇台本すべて比較すると面白い。想像以上に濃い二人劇なので実際に演技のぶつかりあいを見たいなと思いました。最後にも訳者の方が書かれていますが小説と同じセリフでも発するタイミングが変わると意味が少し変わっていたりするのが非常に興味深いです。2014/05/22
シンドバッド
0
プイグに魅せられた最初の本
キリノ
0
会話だけなのにゾクゾクする、ひたすら凄い、、2013/02/10
やちよ
0
小説版を読んだすぐ後だったのでおまけのつもりで軽く流し気味に読みました。 戯曲用に短くまとめられた形態ですが、小説では読者に解釈が委ねられていた形のラストがこちらでは人物の心境などがよりハッキリと語られています。 小説の方が余韻が残る感じでずっと良かったですが、これを読んですっきり出来た部分もあるかもしれない… ともあれ読む順番は小説が先で正解だったかな…2012/01/23