感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
31
週末に公演を観に行くので読んだ。第二次大戦中に退却する軍に水も食料もなく監禁状態で置き去りにされた捕虜が、仲間を殺して食べ60日後まで生き永らえた実話をもとにしている。最後まで生き残った2人は発狂状態で発見されたが、もし完全に正気で裁判にかけられたらとの設定で被告が殺害や食べる場面を詳細に証言する。読者や観客は裁判官や陪審員であり、この極限状況で起きた悲惨な事件を耳をふさがず聞かねばならない。まして戦争という大量殺人のただ中で、ごく小さな殺人を裁けるのか。実際の舞台でこの告白を聞き続けられるか自信がない。2020/09/10
Shimaneko
13
辛い。しんどい。WWII 時のポーランドで起きた惨劇(放置された捕虜同士のカニバリズム)を元ネタにしたモノローグ芝居の原作翻訳。あまりにヘヴィすぎてほとんど苦行だったものの、四半世紀近く前に端正な音訳を残してくれた先達の成果を世に残すべく、ほぼ義務感と使命感のみで読了&DAISY編集を完了。あー、しんどかった。ちょっとググってみたら、近年では加藤健一の息子が上演したりしてて、そっちも軽くびっくり。2024/07/14
nightowl
4
加藤健一事務所の息子さんが跡を継いで上演されると知り(https://stage.corich.jp/stage/117542 ちなみにお父さんも道化師を主人公にした一人芝居を上演予定)読了。ドイツ人に閉じ込められたロシア人将校の捕虜。唯一正気で生き残った男が語る顛末。演劇は人の生をまざまざと見せ付けるものだけれど、余りにも究極の姿に言葉を失う。相当な覚悟が無ければ踏み込めない作品。今のこの時期に思うのは、報復とは決して救いにならないし正しくもないこと。2022/04/10
ヨコギ
2
再読である。長い一段落で書かれた独白。人間が動物である以上、共食いから逃げることは出来ない。でも人間って何なんだろうな。知能、理性、本能、秩序、どれも答えにはならない気がする。とりあえず、親戚から「情操教育に悪い本だけど」と言われて貸してもらったのが初読。2013/11/19
Lilas
1
ラジオでこの作品を知った。ヘビーなのでなかなか読めずにいたけれど、読んでみたら半日で読了。いや~、ものすごい...カニバリズムに関しては、「野火」のほうがずっと強烈だったけれど彼らのおかれた状況の過酷さたるや。お芝居は、私が知らなかっただけで、上演されているのよね。見てみたい。 2025/01/11