内容説明
社交界の寵児クロスビーはアリントンでリリー・デールと婚約。その二週間後、コーシー城でレディー・アリグザンドリーナと婚約する。この二重婚約の結末は?ジョン・イームズは幼なじみのリリーを妻とすることを絶えず夢見る。クロスビーとイームズの確執は?トロロープが描くビルドゥングス・ロマン!
著者等紹介
木下善貞[キノシタヨシサダ]
1949年生まれ。1973年、九州大学文学部修士課程修了。1999年、博士(文学)(九州大学)。現在、福岡女学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロピケ
6
著者の心配をよそに、リリー・デールを好きになれなくても、物語を十分楽しめた。むしろ、姉のベルの方が数倍好感が持てる。トロロープは毎回、イライラさせてくれる登場人物を用意してくれるけれども、それが今回のように主役級のキャラクターだったりして、ぐいぐい小説の世界に引き込まれる。それにしても、今回、目次をみて「おえっ、おえっ!」という題目に目が点。もう一か所、別の章でも使われていて、どうやら噂の二人の男側の目論見を指しているようだ。最後の章も祝祭的ではありながら、何だったんだろう?まさかリリーは御老体と(笑)!2015/09/29
きりぱい
2
間違って続巻の方を先に読んでしまったものだから、イームズの所業がまさか繰り返されたものだったとはと驚き。どこが誠実なんだ?息抜きしている暇にさっさと攻めていたら違っていたかもしれないのに。と、それを言うなら、郷士も結局手当を与えるなら最初の時に与えていれば・・と色々感情で動いたり動かなかったりで自らを生き辛くしてしまう、浮世のむずかしさが描かれる巻。理性で抑えられていたのはダンベロー卿夫人くらいか。面白かったけれど、よかったと思える決着がベルのこと以外特にないのがちょっと物足りないかな。2016/10/05
NZR
0
800頁以上かかっての「ああ、矢っ張りそうなるのね」と嘆息してしまう、そんな結末。役割語を含む古めかしい訳文は変わらず心地よい。2015/08/27