内容説明
転換期イギリスの大聖堂の町、バーチェスターを舞台に繰り広げられる義理と人情の人間模様。
著者等紹介
木下善貞[キノシタヨシサダ]
1949年生まれ。1973年、九州大学文学部修士課程修了。1999年、博士(文学)(九州大学)。現在、北九州市立大学外国語学部教授。日本英文学会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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春ドーナツ
10
カバーの袖と訳者あとがきにアンソニーの経歴が一切紹介されていないので、調べることにした。Anthony Trollope(1815-1882)は英国の小説家。ディケンズの生涯(1812- 1870)とほぼ重なりますね。気になったのが独自の執筆法「15分間に250語の割合で機械的に著述する」です。Wikipediaのこの一文を何度読み返してもピンと来ない。自伝にて公表したそうだが、もう少し具体的に語られているのでしょうか?「機械的に」というのは「コックリさん」みたいな意識下の自動筆記のこと? わからぬ。2018/05/09
ミサ
7
今年読んだ一番つまらなかった本!社会の意見を気にしすぎる主人公。意味が変わらない恋愛などなど。★1。この著者のファンによるとこの著者の本を最初に読むなら、別の本から始めたほうがいいらしい。特にこのシリーズの3巻の方が面白いと。(このシリーズは順番に読む必要がない。)2020/10/04
Mark.jr
3
ストーリーもさることながら、文章が石垣のように固いです。良くも悪くも説明過多な部分があるので、あまり読者が介入する余地がないかと...。2024/01/23
ロピケ
3
この本を読んで、トロロープって案外強気な人だったのでは…と思った。ペシミスト・アンチカント、ポピュラー・センチメントってネーミング、あまりにも露骨で、当時ご存命だった作家に喧嘩ふっかけてるとしか。同時代人だけに比較されるディケンズは、当時からかなり意識していたんでしょうけれど。マスコミに糾弾され、追いつめられるハーディング氏の意向と家族の思惑が交錯し、現代でも通用する展開で説得力もある。モームが『読書案内』の中で、トロロープの代表作と紹介していた、次の作品『バーチェスターの堂宇』も是非読んでみたい。2011/01/14
きりぱい
3
慈善院長を務めるハーディング氏が陥る横領疑惑。口さがない世間に立ち向かえる力も持たず、ただ善良で律儀な氏が、上司と部下の板挟みで汲々としている課長か何かのように、憂き身をやつしている様子が哀れ。とりあえずこの巻なりにまとまった終わり方になっているのだけれど、『バーチェスター年代記』6連作(の初めの巻)本邦初訳!続々刊行予定!と帯にあるので、聖職者をモチーフとして、娘や婿たち、友との人間模様で始まった物語が、バーチェスターという町で今後どう広がってゆくのか、刊行が続いて読めることを願う。2010/09/26