目次
翻訳 「ラパチーニの娘―オーベピーヌの著作より」
作品解説 「愛」と「毒」
小論(ホーソーンとふたりの女性;ソファイア・ホーソーン;マーガレット・フラー)
著者等紹介
矢作三蔵[ヤハギサンゾウ]
学習院大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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澁澤るり子
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ラパチーニの娘を収録した本はいくつかあったが、解説が収録されていたのでこちらを購入。「フランス人作家の作品の翻訳」という設定も面白い。ぜひ舞台化してほしいと思った。
ya-hohoi
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本棚 ,フラーの作品を読みたくなったな2023/07/30
渡辺 孝宏
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丹念に描写される耽美で潤いと暖かな日の光の輝きが包み込む環境描写によって、登場人物の行動や煩悶までもが何か美しい背景を持っていると思わせる筆ぶりが印象的。ジョバンニが毒を持つようになり、ベアトリーチェを愛すると言えどもそこまで了承はしていない、話を勝手に進めるなと言う怒りの心情への移ろいが良い。解毒剤によって彼女が死ぬのは、背虫男の背中をまっすぐにしたら彼は死ぬというニーチェの取り上げたテーマにも似る。2022/08/29
季奈
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ホーソーンの『ウェイクフィールド』では妻から失踪するのに対して『ラパチーニの娘』では、ベアトリーチェがもつ毒が非常に多義的であって、ホーソーンを取り巻く人物から、そのモチーフを特定し辛い。 妻ソファイアと友人マーガレットの両性質を綯い交ぜにしたのかもしれないが、私としては後者の要素が強いと感じる。 そもそも、毒とは何のメタファーなのか。 小論でも書かれていたが、やはり人が持つべき必要悪なのではないだろうか。 純粋な生き方は、あまりにも毒なのだから。2021/01/06