内容説明
本書はAdventures of Huckleberry Finnの1876年の草稿、即ち“生原稿”である。従って、これは今まで多くの読者に親しまれてきたAdventures of Huckleberry Finnとは厳密には異なる。なぜかと言えば、Mark Twainの出版責任者Charles L.Websterが不実にも多くの部数を売りたい一心で、1884年4月印刷開始寸前にあった生原稿の第16章中の17頁分の“the raft episode”を外して初版を出すという軽挙に走ったからである。周知の通り、わが国には大橋栄三編注The Adventures of Huckleberry Finn(東京、研究社、昭和25年)という優れた業績がある。それをあえて本書を新たに出そうというには当然、それなりの理由が必要である。それは、この先達の書には当然ながら、この重大な欠落部分の復元はなされていないからだ。そこで、このテキストで“the raft episode”の条りをわが国で初めて復元し、Huckleberry Finn研究に一層の勢みをつけたいという願いをこめたものである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
24
10歳の少年ハックルベリ・フィンが、家出して逃亡した黒人奴隷のジムとミシシッピ川を筏でにげるお話。全てハックからの視点で書かれ、大人の都合、どうにも胡散臭い教会の教え、お金の為にいかに人間は醜くなれるか、無意味な家同士の闘争など、極めて賢い考えを絡めて語る。また、本当に親切で愛情に溢れた善良な人々への感謝、暴力的な扱いを受ける人への惜しみない同情で、不良扱いされ教育も受けなかったハックの元々の優しい人柄がとても良い。たくさんの翻訳があるけど、翻訳したくなる気持ちがよくわかる。2018/08/24
このこねこ@年間500冊の乱読家
2
⭐⭐⭐⭐ 子供の頃読んだ際と印象が全然違って驚きました。 「僕はなんて悪い奴なんだ。黒人を助けて自由にしてやるなんて!」 これが19世紀半ばのアメリカの価値観だった訳です。 こういう時代を乗り越えて、今のアメリカがあるのだな、と感じました。2022/03/24
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