内容説明
心と身体に傷を負った兵士たちの戦後。いま再び戦場で犠牲者を生み出そうとする現代日本、国家によって人生を奪われた人びとが“戦争”を問う。
目次
旧箱根療養所最後の傷痍軍人
ハンセン氏病傷痍軍人たちの戦後
結核に冒された傷痍軍人たち
心を病んだ兵士たち
著者等紹介
樋口健二[ヒグチケンジ]
1937年長野県富士見町松目生まれ。報道写真家。日本写真芸術専門学校副校長。日本写真家協会会員。世界核写真家ギルド会員。日本広告写真家協会学術会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ののまる
8
重傷者、戦地でのハンセン病感染者、精神を病んだ傷痍軍人たち。彼らの存在は、「敗戦」であって決していま「戦後」ではないことを見せてくれる。2024/02/07
Aby
5
1970年代に傷痍軍人の療養所で撮影された写真集.積読にしていたが,これを買った理由は,昨年NHKの番組を見たことから.[クロ現+] 戦場のトラウマで精神疾患に… 戦後も続く元兵士や家族の苦しみ https://youtu.be/v0VEVFdYfLo ◆戦後もケガや病気で療養所暮らしをされている方がいらっしゃることは知っていたが,戦争神経症で長く療養所暮らしされている人がいることは,この番組で初めて知った.2022/08/22
鍵窪錠太郎
5
写真それ自体と、各テーマについて書いた文章の質は高い。忘れられた皇軍兵士たちが多くいた時代(70年代前半)と少し前の時代(2006年)を比べるよう配置し、写っている人の事を書いていたり、内容自体は高く評価したい。それだけにあとがきの安直な平和観が残念でならない。平和と憲法を問題にするのならば、9条そのものよりも14、24、25、27条といった国民の権利及び義務の現状実現出来ていない条項の実現化や、経済、一票の格差などの是正の方がよっぽど平和に繋がると思うし、社会制度の歪みで死んでいる人間が近時は多い訳で。2017/11/26
ともがら
3
感性に欠けるのだろうが写真に特に何も感じなかった 文章が短くて物足らなかった だがこういった方たちのことを知れて良かった 父の戦友にも、私のお客にも、傷痍軍人の方がおられた2018/04/26
てまり
2
傷病兵たちが入所した病院などの写真集。1970年ごろと2006年ごろ。モノクロ。文章はかなり少なめ。解説より先に写真が来る。こう言っていいのか迷うが、なにより作品として美しい。なかなか見舞いの人も来ない場合が多かったとのことで、閉じた世界の影絵だけを見るような。最後あたりのページに著者の写真もあるが、被写体の元兵士たちとほぼ変わらないお歳で、なんだかドキッとした。見る側の者=私=著者と、無思慮に決めつけていたのを暴かれたようで。2024/02/13