目次
1(マチウ書試論;芥川竜之介の死)
2(「民主主義文学」批判;「戦旗」派の理論的動向;芸術的抵抗と挫折;転向論)
3(戦後文学は何処へ行ったか;芸術運動とは何か;文学の上部構造性)
4(他人の著書から;情勢論)
著者等紹介
松本昌次[マツモトマサツグ]
1927年東京生まれ。1953年未來社に入社。以後三十年間編集者として勤め、1983年退社、影書房を創設し現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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オオタコウイチロウ
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「転向論」のみ。吉本の文体は、告発的で、なるほど68年世代の檄文だ。日本の知識人は、常に「理論」の精緻さを求め、封建遺制と過剰近代ががっぷり四つになった「現実」との対決を避けた結果、「大衆」から孤立し、潜在的顕在的「転向」へと向かう。ただ、その封建制を含めた現状を、「優勢遺伝」と形容するのは引っかかった。檄文の切れ味は、「大衆」という飛び道具があってこそのように思うのである。その「大衆」の規定自体が「都会」的だ。掛け値なしの大衆とは、本来、表情が「無く」、「口下手」なはずだからである。確信犯か。2020/12/29