内容説明
日常生活―世界大戦の狭間に出現した都市のミクロな生活経験。これを基礎にした「歴史的時間」をめぐる戸坂潤や今和次郎らの言説を軸に、従来の歴史・地域研究に刻印されたコロニアルな視座を批判する。近代日本と「西洋」との思想的同時代性に焦点を当てた待望の書。
目次
時間、経験、そしてファシズムの亡霊―日本の読者にあてて
序論 日常生活の避けられない「アクチュアリティ」
第1章 恐竜のあとを追って―「グローバリズム」の時代の地域研究
第2章 「日常という神秘」―歴史における日常性
第3章 「弁証法的な光学」―日常性における歴史(日常生活の幻想化;日常性空間の風俗化)
著者等紹介
ハルトゥーニアン,ハリー[ハルトゥーニアン,ハリー][Harootunian,Harry]
1929年、米国デトロイト生まれ。ミシガン大学博士号。日本思想史専攻。シカゴ大学・ニューヨーク大学名誉教授。デューク大学客員教授。アメリカ芸術科学アカデミー会員
樹本健[キモトタケシ]
1971年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。東京外国語大学地域文化研究科博士課程中退。コーネル大学アジア学部博士号取得。現在、オクラホマ大学外国語学部助教授。日本思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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八八
3
ハリー・ハルトゥーニアンは名前だけなら以前からちらほらと伺っていた。一冊読んでみようということでこの本を読んでみたが中々難しい、、、。著者の論点として歴史学の西洋中心主義的見方、特に近代を中心にそれを乗り越えようというものである。そこで、著者は戦間期にグローバルに展開した資本主義を中心に据える。そのような中では西洋は外部ではないからである。そして、ハイデガーなどの西洋の哲学者と戸坂潤等の日本の哲学者を対比して考察する。全体的に難しく浅学の身には難しいものがあったが、一読すべき本であることは確かである。2018/11/29