内容説明
プラグマティズムの創始者パースの問題探究における三段階論が、毛沢東『実践論』と対応することをつきだし、マルクスのやり残した「論理学」の構築を目ざした不朽の名作。
目次
序論 弁証法的方法
第1部 マルクス主義と弁証法(マルクス主義論理学の成果;弁証法と形式論理学;弁証法における歴史と論理;マルクス主義における「弁証法」と「形而上学」)
第2部 プラグマティズムと弁証法(プラグマティズム論理学の成果;プラグマティズムの真理概念;プラグマティズム・マルクス主義・論理実証主義;演繹法・帰納法・弁証法;問題解決の論理;チャールズ・パースの論理思想;ウイリアム・ジェイムズの哲学;弁証法論理学と資本論)
感想・レビュー
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ぽん教授(非実在系)
2
パースとヘーゲルの意外な共通点を弁証法のダイナミズムの観点から比較して論じる。真理及び演繹法・帰納法の二分法を伝統とするイギリス経験論に対して、ヘーゲルとパースは統合を目標としている点で同一と見なす。その上で、マルクス主義もエンゲルス、レーニンを経て毛沢東に至るとパースと同様の位置にたどり着いたとして高く評価する。著者の大胆すぎる見解は当時のマルクス主義者・共産党系知識人の逆鱗に触れたらしく、党派的政治的イデオロギーに基づいた誹謗中傷を行われたという遠い昔あるあるエピソードも楽しめる。2018/08/23