内容説明
明治期の「国家主義」の枠内での哲学研究から、昭和初期の日本概念論哲学の確立への過渡期の哲学研究が本書である。この時期の哲学は第一次大戦とロシア革命からかけ離れた地平においてなされ大正デモクラシーと交わることなく並行線をとっていた、と著者は論じる。大正期には、まさしく「個人」が哲学的思惟の中心課題とされたことのゆえに人道主義・理想主義・人格主義と特徴づけられる哲学が創造された。西田・田辺哲学研究への助走。
目次
序篇(大正哲学の系譜;大正哲学の基本原理―内面的個体性の論理)
本篇(大正ヒューマニズムの哲学―阿部次郎の哲学;大正期におけるカント哲学研究;大正期における生命哲学の理解;プラグマティズムの受容と展開;大正期における西田哲学―「自覚の哲学」;大正期の唯物論―唯物史観論を中心として)
昭和前期の日本主義哲学―紀平正美・和辻哲郎・蓑田胸喜・鹿子木員信・「生み」の哲学