内容説明
ヘーゲルのエンチュクロペディー体系構成をふまえながらも、自然・精神・人間・社会・歴史・宗教・芸術にわたる哲学を包括する領域を「実在哲学」とみなしたところに、著者の独自性がある。戦前のヘーゲル研究では精神現象学が「体系の梯子」=認識論として捉えられていたのであるが、本書では「精神現象学―論理学―実在哲学」という三大構成部分からなるものとして、ヘーゲル体系は捉え返されている。ここに著者の研究の独自性がある。
目次
1 ヘーゲル哲学における二つの体系―『エンチュクロペディー』における体系と「発展におけるヘーゲル哲学(体系)」
2 学(Wissenschaft)そのものとしての論理学
3 学(Wissenschaft)への道としての現象学
4 非独立的非根源的な学(Wissenschaft)としての実在哲学(Realphilosophie)
5 現象学・論理学・実在哲学(Realphilosophie)の連関の積極的意義
6 現象学・論理学・実在哲学(Realphilosophie)の連関の消極的意義
7 現象学・論理学・実在哲学(Realphilosophie)の連関の中心は論理学であり、且つその性格決定者は現象学である―現象学の(絶対的)内在性
8 現象学と人間学との関係―内在性から超越性へ