内容説明
チョーサーの諸作品の中でも、『カンタベリー物語』と相並ぶ傑作と称すべきもの。非キリスト教的な倫理を基調とした異教の世界に開花凋落した恋の大絵巻。
感想・レビュー
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サタニス
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甲南大学教授宮田武志氏訳/こびあん書店 14世紀イングランドの中世英文学の代表チョーサーの筆によるギリシャ神話のトロイ戦争の登場人物トロイロスとクレシダを主人公として中世騎士道的な宮廷恋愛に落とし込んだ物語。全5巻みっちりクリセイデとトロイロスの嘆きや不安が綴られる。キリスト教的貞操感が強く押し出されギリシャ神話の舞台の想定とはパラドクスとなり、恋愛が表沙汰になることを極端に怖れる寡婦クリセイデとトロイア王子の焦燥感や不安感は精神異常の域にも感じる。シェイクスピアの「トロイラスとクレシダ」の着想元らしい。2017/04/04