感想・レビュー
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たーぼー
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対面の数の和が必ず7になる完璧な構造と、正六面体が齎す結果に人類の叡智が集約されていると考えるのは大袈裟だろうか?転がり易いように角が少し削れたフォルムにおかしみを感じるのは変だろうか?『偶然を廃することはないだろう』は白河院が『賀茂河の水、双六の賽・・・』と謳った世への嘆きと同様の意味かもしれない。しかし、自己の運命を開くものは自己に賽を投げた者の手のみに或ることを最後の一文に示したことで、未来永劫に続くこの遊戯に賭ける人間の快楽と苦難、そして詩人の苦難が頂点に達した瞬間の解放の光をも見た気がするのだ。2018/09/05