内容説明
江戸から帝都東京へ―精神的・社会的怒濤の時代に「個人主義」を掲げ、自己・他者・社会を文学を通して追求・表現した漱石。その作品群を読み解く。「韓国併合」前後の漱石の動きについても、新たな見方を提示。
目次
第1部 私の個人主義―私は私自身を代表している(「文鳥」「夢十夜」「心」から探る“意中の人”―「それから」の前夜;楠緒・保治・金之助―テキスト外のこと;愛せない男―市蔵(「彼岸過迄」)の燃えない愛と燃え上がる「嫉妬心」
「行人」―猜疑の拡散と、震源地・愛嬌のない女
「現代の青年に告ぐ」から「先生の遺書」へ―「野分」と「心」の間
「道草」等に見る、子どもに対する精神的虐待の諸形態)
第2部 漱石とその時代―性別・階層・国の壁(「三四郎」の“絵を描く女”と野上弥生子の「明暗」;幸徳秋水(「それから」)・満韓遊歴(「韓満所感」「満韓ところどころ」)・安重根―漱石が一九〇九年から一九一一年にかけて経験したこと
進化する「細君」―「野分」「門」「道草」から「明暗」へ
持たざる者と持てる者―「明暗」の人々)
著者等紹介
関口すみ子[セキグチスミコ]
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)、元法政大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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