内容説明
20世紀初頭、西欧諸国の重囲に喘ぐ清朝滅亡後の中華民国初代の大総統となり帝位をも狙った巨魁・袁世凱の野望と、彼に代表される中国軍閥大小の栄達保身と興亡、その狭間にあって利権獲得に狂奔する外国列強のからみ合いの意義等々を、今日の視点に立って分析し鋭い判定を下した現代中国理解のための好著。
目次
清朝軍隊の腐敗と北洋軍閥興亡の概要
袁世凱の反動支配と反袁闘争の進展(袁世凱政権の樹立;『二次革命』およびその失敗;袁世凱の売国と独裁;『洪憲帝制』;『護国運動』)
北洋軍閥の暗黒支配と孫中山のよびかけた『護国運動』(袁世凱政権のあとをめぐる軍閥紛争;段祺瑞政権の暗黒支配と孫中山のよびかけた『護法運動』)
北洋軍閥間の『混戦』と『連合』(直・皖および直・奉軍閥の『混戦』と直系軍閥支配の確立;第二次直・奉軍閥戦争と直・奉軍閥の反革命『連合』)
北洋軍閥の覆滅
感想・レビュー
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印度 洋一郎
3
歴史的には中国を混乱させ、圧制を敷いた諸悪の根源と見做される「軍閥」の去就をまとめた貴重な本。軍閥と言っても、その中心的存在だった北洋軍閥の事だし、原書は1960年代に書かれたので、共産党史観バリバリの記述だが、それは割り引いても興味深い内容だ。張勲の複僻のくだりなどは、何故唐突に清朝が復活(しかも十日ほど)したのか、その経緯が面白かった。皆に適当なこと言われて、すっかりその気になった張勲が勇んで溥儀を担ぎ出してみると、「誰もそんなこと言ってないぞ」と掌返しをされて、ガックリという喜劇的展開だったらしい。2012/08/14