出版社内容情報
生態学と生物多様性を専攻する著者は、フィールドワークで訪れた上伊那郡飯島町で、ミヤマシジミが群をなしてとぶ光景に驚嘆する。近くには白い花を一面に咲かせるソバ畑があった。本書は、人-自然-生物の相互依存的な関係がいかにして生じ、どんな問題に見舞われてきたかをわかりやすく綴ったエッセイ。
内容説明
幼少期の懐かしい自然体験にはミヤマシジミという青藍色の美しい蝶がいた。40年後、何度か記憶の場所を訪ねるようになり、数年が経ったころだった。ついに、土手の草地に無数のミヤマシジミが舞飛ぶ光景と遭遇する…。
目次
第1章 人と自然の歴史―生物としての「ヒト」から社会を創る「人」へ(「自分とは」の問から始めよう;ヒトという生物の一種 ほか)
第2章 里山の多様な生物―「景観‐生物‐人間活動」の相互作用について(親自然の暮らし;「生態系」とはなんだろう ほか)
第3章 ソバとシジミチョウ―共に生き活かされる「つながり」の不思議(記憶の場所での新たな出会い;ミヤマシジミとは何者? ほか)
第4章 人と自然のリアルな関係―人工資本で充満した世界からの脱却(小さな持続性に気づくこと;SDGsとハーマン・E・デイリー;自然と社会の関係図;「場」としての自然 生物 人)
著者等紹介
宮下直[ミヤシタタダシ]
1961年、長野県飯田市に生まれる。1985年、東京大学大学院農学系研究科林学専攻修士課程修了。現在、東京大学大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻教授(農学博士)。生態学を専門分野とし、主な研究テーマは「生物多様性」。日本生態学会会長(2022‐24)、日本蜘蛛学会会長(2012‐17)。フィールドワークの拠点である上伊那郡飯島町が日本一のミヤマシジミの生息地であり続けられるよう、2021年10月には「ミヤマシジミ里の会」を発足。学生や地元の人達と力を合わせ、環境保全に取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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