内容説明
一九世紀から現在に至るまで、まるで亡霊のようにいつまでも消えずに残っている発生反復説。思想を超越した魅力を放ち続けるのが「反復」という、この難解極まりないテーゼなのだ。あまたある学説の中にあって、この発生反復説だけは、とりわけ動物学者にとっては厄介な代物であり続けている。形態進化の謎に迫ろうとすればするほど異様に明瞭に目の前に浮かび上がり、手に掴もうとする刹那、明滅を始め、指の間をすり抜けてゆく。
目次
第1章 発生反復説
第2章 反復とは何か
第3章 『一般形態学』とヘッケルの発生反復説
第4章 生物発生原則のその後
第5章 保守的な発生のメカニズム
第6章 発生が進化を繰り返す理由―「発生負荷」と進化
第7章 反復説に反する考え方
第8章 ボディプランの進化―非反復的進化プロセス
第9章 越境する反復と諸問題
第10章 結論とまとめ
著者等紹介
倉谷滋[クラタニシゲル]
1958年、大阪府出身。京都大学大学院博士課程修了、理学博士。米国ジョージア大学、ベイラー医科大学への留学の後、熊本大学医学助教授、岡山大学理学部教授を経て、現在、理化学研究所主任研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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