出版社内容情報
神話の時代から、日本人の想像力や畏怖を呼び起こしてきた水棲の生き物たち。物語や日記・随筆など、さまざまな形で今に伝わる逸話や奇譚を精選。異様な姿形にぞっとしたり、その振舞いに翻弄される人の有りさまを笑ったり…くろぐろとした水底に潜む不思議をすくい上げる。
内容説明
海や川、池や沼には、いったい何が棲んでいるのか、わかったものじゃない。水界では、どうやらヒトの理屈は通らないようだ。絵にも描けない竜宮城も、一見楽園のようでいて、その正体は伏魔殿かもしれない。不思議が詰まった本の玉手箱、ページを開ければ、何が出るやら。
目次
介類の章(あわび―鮑;かき―牡蛎;さざえ―栄螺 ほか)
甲類の章(かめ―亀)
鱗類の章 海水の部(いしもち―石持;いわし―鰯;にしん―鰊 ほか)
鱗類の章 淡水の部(あゆ―鮎;いわな―岩魚;やまめ―山女魚 ほか)
著者等紹介
福井栄一[フクイエイイチ]
上方文化評論家。1966年、大阪府吹田市生まれ。京都大学法学部卒。京都大学大学院法学研究科修了。法学修士。四條畷学園大学看護学部客員教授、京都ノートルダム女子大学人間文化学部非常勤講師、関西大学社会学部非常勤講師。朝日関西スクエア・大阪京大クラブ会員。上方の芸能や歴史文化に関する講演、評論、テレビ・ラジオ出演など多数。剣道二段(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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榊原 香織
73
山芋がウナギになるとか蛇がタコになるとか、昔の人は思ってたのか。 秩父のやみそ、と言う山には草むらに鮒が住むそうな。木鮒という。2022/10/08
よこたん
40
“谷川の岸に生える山芋は、水に浸かるとその部分から鰻に化すという。笹が水に浸かると鮎へ化すのと同音異曲の由。” 山芋が鰻に変身!? 半分山芋半分鰻状態でクネクネしてるの見てみたい! 古事記から江戸時代までの様々な書物に書き留められた、水の中に棲む生き物たちの妖しい(怪しい?)不思議な物語とその挿絵を収録。昔はこんなトンデモな伝承があったのかと驚くべきか、当時も「ネタ」と捉えられていたのかは謎だ。どの絵も絶妙にゆるいのが、たまらない。河豚(ふぐ)の解毒の方法、砂糖水やスルメはいいけど、アレは強烈すぎ。2022/09/13
Kira
15
図書館本。魚介類にまつわる珍談、奇譚集。中でも不思議だったのは、蛇が蛸に化する話。それも一つや二つではなく幾つもあるので、本当にこんなことがあるのかと思ってしまう。蛇が変じた蛸を食った男がメジロを食ったという話まである。山芋が鰻に化すというのも不思議。この巻でも松浦静山の「甲子夜話」と根岸肥前守の「耳嚢」からの記述を楽しませてもらった。2022/09/08