内容説明
生きづらい男ルートヴィヒが戦場で求める生の意味。演劇悪魔・谷賢一が挑んだ前期ウィトゲンシュタインの演劇化。
目次
戯曲―従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインがブルシーロフ攻勢の夜に弾丸の雨降り注ぐ哨戒塔の上で辿り着いた最後の一行「―およそ語り得るものについては明晰に語られ得る/しかし語り得ぬことについて人は沈黙せねばならない」という言葉により何を殺し何を生きようと祈ったのか?という語り得ずただ示されるのみの事実にまつわる物語
あのとき、確かに僕はルートヴィヒだった。―谷賢一、『従軍中のウィトゲンシュタイン(略)』を語る。
著者等紹介
谷賢一[タニケンイチ]
劇作家・演出家・翻訳家。1982年福島県生まれ、千葉県育ち。明治大学演劇学専攻。在学中にイギリス留学し、ケント大学演劇学科に学ぶ。その後、主宰劇団DULL‐COLORED POP(ダルカラードポップ)を旗揚げ。2013年、海外戯曲『最後の精神分析―フロイトVSルイス』の翻訳・演出で第6回小田島雄志翻訳戯曲賞、文化庁芸術祭優秀賞を受賞。海外演出家の作品に上演台本や演出補などで多数参加。2016年、セゾン文化財団ジュニア・フェローに選出される。2016年から自身のルーツのひとつである福島県を題材にした演劇プロジェクトを開始(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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qoop
6
第一次世界大戦の過酷な戦地で培われたウィトゲンシュタインの前期思想。彼をして「論考」を書かしめたのにはどんな経験が寄与していたのか。著者はフィクションの強みを活かし、史実からの飛躍を躊躇せずに物語を組み立て、その骨子を掴もうとする。本戯曲の白眉は写像理論の気づきだろう。ドラマティックであり、同時に動きのない構成に思われる。実際にここの場面は舞台でどう演じられたのか。脚本を読むだけでもイメージは膨らむけれど、観てみたかった。2019/11/05
青縁眼鏡
3
もっと読んでいたかった。お芝居、見たかったです。参考図書も読まなくちゃ。2019/11/06
ろびん
2
しんどいホンだな……。そして脚本家のエピソードが怖い。脚立の上から謝るってなんだ。2019/12/19
やまうち
0
⭐︎32019/10/20
葛
0
略称:従軍中のウィトゲンシュタイン 著者:谷賢一 発行日:2019年9月20日 編集:李栄恵 エディトリアル・デザイン:佐藤ちひろ 印刷・製本:シナノ印刷株式会社 発行者:十川治江 発行:工作舎 定価:本体1400円+税2020/08/10