出版社内容情報
90年代に誕生した「進化発生学」の観点から、分節をめぐる学者の探求を辿り、動物形態の起源と進化、自然への眼差しの変遷に迫る。ヒトが属する脊椎動物は、頭の分節性を特徴としており、多くの生物学者が200年以上にわたり解明に挑んできた。しかし、頭部分節という考え自体が、「幻想」として生み出されたものであった。90年代に誕生した「進化発生学」の観点から、分節をめぐる学者たちの探求をたどり、動物形態の起源と進化、自然への眼差しの変遷に迫る。脊椎動物とは、われわれとは何ものか? 「アタマの起源」を探る、刺激的な一書。
第1章 観念論の時代
◆ゲーテからオーウェンへ
◆オーウェン
◆原型と相同性、グレードとクレード
第2章 比較発生学と比較解剖学の時代
◆先験論的比較発生学
◆頭部分節の否定、そして「前成頭蓋発生学」の誕生
◆分節の起源
◆ヘッケル
◆ゲーゲンバウアーと比較解剖学
◆バルフォーと頭部分節
◆ヴァン=ヴィージェ
◆プラットの小胞と頭部分節の数
◆フロリープ
◆ガウプと軟骨頭蓋の比較解剖学
◆後頭骨のホメオティックシフト
◆鰓と頭腔
◆グッドリッチと頭部分節説の二〇世紀的結論
◆誰が分節論者か?
第3章 もう一つの流れ、神経系の分節理論
◆神経分節と頭部分節性
◆神経分節
◆ジョンストン
◆ニールと神経分節
◆ベルグクイストと多角形モデル
◆二〇世紀末のロンボメア論争
◆もう一つの前脳モデル
第4章 グッドリッチ以降
◆円口類の位置と意義
◆ド=ビアと前成頭蓋博物館
◆ゼヴェルツォッフの系統進化的ヴィジョン
◆アリスと梁軟骨
◆ポルトマンと頭蓋の一次構築プラン
◆ジョリー
◆ローマ―と二重分節説?
◆スウェーデン学派
◆形態学の暗黒時代とソミトメアの夢
◆頭腔と頭部中胚葉の分節性
◆遺伝子発現
第5章 実験発生学の時代
◆個体発生プロセスとボディプラン理解
◆形態発生的拘束と分節性
◆脊椎動物の頭部分節性を発生機構的に見直す
◆頭部神経堤細胞をめぐる実験発生学と頭部分節性
◆皮骨頭蓋の謎
第6章 進化発生学の興隆
◆進化発生学とは何か
◆現代進化発生学批判試論
◆脊椎動物の起源という問題意識
◆ガンスとノースカットと「新しい頭」
◆ナメクジウオとの比較
◆半索動物
◆背腹反転
◆そして、脊索は
◆進化を遡る
◆幻想としてのウルバイラテリア
◆類似した分節
◆脊椎動物の作り方に関する謎
◆祖先的胚形態
◆残された問題
◆相同性をめぐる考察、再び
◆結語
追補――試論
◆序
◆円環としての相同性
◆要約と結論
倉谷滋[クラタニシゲル]
1958年、大阪府出身。京都大学大学院博士課程修了、理学博士。米国留学後、熊本大学医学助教授、岡山大学理学部教授を経て、現在、理化学研究所主任研究員。主な研究テーマは、「脊椎動物頭部の起源と進化」、「カメの甲をもたらした発生プログラムの進化」、など。単訳書、ブライアン・K・ホール『進化発生学』(工作舎2001年刊)は、高額ながら話題書となり、たちまち品切となった。
内容説明
脊椎動物とは何か?頭とは何か?われわれは何ものか?アタマの起源。
目次
第1章 観念論の時代
第2章 比較発生学と比較解剖学の時代―比較発生学の興隆からグッドリッチまで
第3章 もう一つの流れ、神経系の分節理論
第4章 グッドリッチ以降―混迷の時代
第5章 実験発生学の時代
第6章 進化発生学の興隆
追補 試論―形態的相同性を記述するための、網目状円環モデル化の試み
著者等紹介
倉谷滋[クラタニシゲル]
1958年、大阪府出身。京都大学大学院博士課程修了、理学博士。米国ジョージア大学、ベイラー医科大学への留学の後、熊本大学医学助教授、岡山大学理学部教授を経て、現在、理化学研究所主任研究員。主な研究テーマは、「脊椎動物頭部の起源と進化」、「カメの甲をもたらした発生プログラムの進化」、「脊椎動物筋骨格系の進化」など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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