内容説明
『普遍音楽』は、一七世紀に記された最も重要な論考のひとつであり、バッハやヘンデルら後代の作曲家たちに多大な影響を与えた。しかし、好奇心のかたまりであり、奇事異聞のこよなき愛好者であるキルヒャーの想像力は、音楽史の枠にとどまることがない。彼は彼の時代までに行われていたほとんどの作品形式について、ていねいに論を進める一方、ひとたび古代音楽を俎上にあげると、その空想力と妄想力は全開となる。ナマケモノの歌、歌う魚、猫オルガン、拡声器、盗聴装置、会話する彫像、イオリア竪琴、自動作曲機械などの不可思議な事物が次々に登場。さらに実験的音響論は、「音は光をまねる猿である」という主題のもとに語られ、宇宙の神秘と真理はパイプオルガンの音と構造の中に見出される。驚異に満ちたアタナシウス・キルヒャーの伝説的代表作、本邦初登場。
目次
第1巻 解剖学
第2巻 文献学
第3巻 楽器
第4巻 比較―新旧の音楽、二種
第5巻 魔術
第6巻 類比―自然のデカコルドンすなわち十管の楽器
著者等紹介
キルヒャー,アタナシウス[キルヒャー,アタナシウス] [Kircher,Athanasius]
1601‐1680。ドイツ出身の学者、イエズス会司祭。その好奇心の対象は多岐にわたり、古代エジプトとその言語と象形文字、光学や磁気学をめぐる自然学、音楽、天上界と地上界、地質学、光と影、医学、暗号論、中国学など幅広い分野の著作を残した。ヒエログリフ解読の先駆者、あるいは伝染病微小生物原因論を初めて実証的に示し予防法を提案したことでも知られる。また珍奇なものの蒐集家であり、「驚異博物館」の所有者でもあった
菊池賞[キクチホマレ]
1965年、花巻市生。東京大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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