出版社内容情報
書評
内容説明
図書館司書兼外交官として動乱期のヨーロッパ政治にかかわりながら、記号論理学や微積分法の創始、二進法の研究、計算機の改良、普遍学の提唱さらには中国学など、おどろくほど広範囲におよぶ研究をなしとげたバロックの天才ライプニッツ。尽きることのない創造力の秘密はどこにあるのか。「発想術」「私の存在術」「発明術と実践術」「情報ネットワーク術」の四つの視座から哲学の生きた現場に迫る。
目次
1 発想術(ポジティブな姿勢;発見の記号学 ほか)
2 私の存在術(私の存在;世界 ほか)
3 発明術と実践術(計算機の発明;図書館活動 ほか)
4 情報ネットワーク術(受信術;発信術 ほか)
著者等紹介
佐々木能章[ササキヨシアキ]
1951年福島県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。三重大学助教授を経て、現在横浜市立大学教授。ライプニッツを中心とした哲学・思想史の研究をする一方で、医療技術がもつ現代的意味についても考えている。最近は、四国遍路などの巡礼の意義について実践も含めた研究を楽しんでいる
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感想・レビュー
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またの名
10
「ウィンドウズ愛好者からは睨まれそう」なモナドの無窓説を唱えたたぶん林檎信者の哲学者。日系人を含む1000人以上と手紙を交わし、微積分を生み計算機を考え法理を整え政治を動かし神学を追求。ライプニッツ的に見れば世界は神が計算し尽くした最良の台本に基くが「ただしこの最高の台本を選んでも、自分の役柄が割に合わないと不平を言う連中はいるに違いない。もっと主要な役につけてくれ、悪役はいやだ、あんまり目立たない、などと言うことだろう。しかしそうした連中を少しでも満足させようとすると芝居はめちゃめちゃになってしまう」。2024/09/30
hakootoko
5
内容の感想:ライプニッツってもしかして近世のベンサム?(功利主義入門とか読んでみよう)装丁の感想:図書館で借りました。全ページが、薄灰色で印刷されていて(たぶん、図版の白が生きるからか?あと、まあ目にやさしいけど紙の色変えればいいのでは)、なんかすごいDTPこだわってる。注も下についている。欲しいな。いいな。2021/08/08
左手爆弾
3
ライプニッツは単なる哲学者に留まらない、幅広い活動をした人物であることはよく知られている。では具体的にそれはどういうものか、それと哲学的な著作はどう関係するのか、そういったことを述べた本である。そしてこれが実に面白い。図書館員や鉱山の現場監督としての奮闘ぶりが巧みに描かれ、さらにそこから哲学的な体系との関連が示される。決して難しい書き方ではないのだが、ライプニッツの著作についてのありがちな勘違いを修正してくれる。オプティミズム・連続律・保険論・類比についての論考が面白かった。世界は多様性を好む。2012/11/07
@を
1
ライプニッツのファンになる本(私はもとからファンですが)。ライプニッツの広範な活動を、各々ではなく全部を結びつけながら紹介。彼の思考方法を術としてくくる書き方は面白いし、彼の様々な著作を読んでいると頷ける。2013/05/28
おめるた
1
全方位型ライプニッツ解説。ライプニッツについて読み解くための本。生い立ちから業績、考え方まで、独特な「術」という切り口で見ていくのが面白かった。ライプニッツの著作を読み解くためのサイドリーダーとして。2010/11/30