内容説明
犬頭の聖人クリストフォロス、アウトカーストの犬喰い族、辺境の蛮族…西欧・インド・中国の神話や旅行記・史書には、怪物種族の一たる犬人=ドッグマンが数多く登場する。この異形のものたちは、どこから生まれたのか?三大文化圏のはざまにあった中央アジア民族は、それぞれの文化圏が抱く「異なるものへの畏れ」によって怪物として語り継がれた。異なる文化圏との出会いはまた、自己と他者の相互認知から起こる融合、差別、排除の観念を生む。そのシンボルとしてのドッグマンを論じた書。
目次
第1章 怪物とはつねに他者のこと
第2章 忌まわしき者から犬頭の聖者へ
第3章 犬頭種族の群れ
第4章 聖仙ヴィシュヴァーミトラと犬食い族
第5章 古代と中世インドにおける犬食い族
第6章 犬人族が渦巻く中央アジア
第7章 中国の犬人伝承―槃瓠と犬戎
第8章 古代中国の異民族が織りなす混沌
第9章 他者を認めて共に生きる
著者等紹介
ホワイト,ディヴィッド・ゴードン[White,David Gordon]
カリフォルニア大学、サンタ・バーバラ校の宗教史学科教授。アメリカ合衆国、ヨーロッパ、インドを拠点として、南アジアのさまざまな宗教の研究を続ける。エリアーデ、デュメジルの系譜を継いでの、比較宗教学、神話学、人類学、歴史、アジア学、民間伝承、中世研究など広範なジャンルからのアプローチは、本書をはじめThe Alchemical Body:Siddha Traditions in Medieval India(University of Chicago Press,1996)に結実した。また中国、インド、日本、ネパール、チベットにおける、7世紀から現在までのタントリズムを編集した大著Tantra in Practice(Princeton University Press,2000)を刊行
金利光[キムイグァン]
1945年生まれ。京都大学英米文学科卒。翻訳家。パディントン・アンド・コンパニイ翻訳工房を主宰。著書に『英日翻訳トレーニング・マニュアル』(バベル・プレス、共著)。主な訳書に『愛と支配の博物誌』(共訳)、『恐怖の博物誌』『森の記憶』(以上工作舎)、『激動の世紀』『春の祭典』(以上TBSブリタニカ)、『ホワイト・バッジ』(光文社)、『彼方への情熱』(パピルス)、『韓国人』(河出書房新社)、『ウェルチ 勝者の哲学』(PHP研究所)など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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