内容説明
アリは本来が遠心的であるのに対して、われわれ人間は自己中心に生活しなければ生存できない、宿命的なエゴイストなのだ…と、目の前の小さなアリたちがくり広げる光景を観察するメーテルリンクは説く。くわえて「倫理の基本が逆転している」と、こたえを見い出す。蜜蜂においては「巣の精神」を、白蟻においては人間社会の未来を、そして蟻に出会うことから、この地球にくらすすべての「生命の普遍性」を考察する。
目次
序 蟻類学の予感
1章 アリ社会の部分と全体
2章 アリ塚の神秘
3章 都市の建設
4章 アリの住居
5章 戦争
6章 伝達と方向感覚
7章 牧畜
8章 キノコ栽培アリ
9章 農業アリ
10章 寄生者
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tatsuya
3
様々なアリの生態を魅力たっぷりに描いた解説書。『青い鳥』のメーテルリンクさんがこんな自然科学系の本も書いているなんてちょっと意外だった。さすがに100年近く前の本ということもあって、現代の価値観からすると違和感を覚える表現もちらほら見受けられる。ナチュラルな白人至上主義だったり、「エーテル」に色んな物事の原因を求めたりとか。けど、逆に「100近く年前の時点でこんなにもアリの生態についてわかっていたのか!」という驚きも。2013/02/24
白い雲。。
1
古い本なのに、ずいぶん蟻のことを研究していて驚く。メーテルリンクがなぜ?と思って読んだが、人間と比べて考えたり、結論付けないで疑問のままにしているところに納得。2018/04/18
ymazda1
1
書店で見かけて面白そうだと思って三部作をまとめ買いしたけど、「他にもメーテルリンクって人がいるんだ~」って青い鳥の人とは別人だと、しばらく思ってた。。。 なかでも、この「蟻の生活」の、ぶらさがったミツツボアリと落っこちたミツツボアリのところは印象的で、人間社会になぞらえずに、蟻の「社会っぽさ」を捉えるその眼力に憧れちゃいました。