出版社内容情報
■ポイント
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◎アメリカにもある「やおい本」(=有名キャラクターをパロディ化したホモ・エロ小説)はスラッシュ本と呼ばれているようだ。カークとスポックがスラッシュな関係にある、ということは××な関係にあるという意味。そう、タイトルの『NASA/トレック』もNASAとスター・トレックがスラッシュな関係にあることを暗示している!?
◎NASAの暴露話あるいはメディア操作としても興味深い内容。
内容説明
NASAは女性宇宙飛行士に何をしたのか?女性たちの手によるカークとスポックの同性愛ポルノ小説は何を意味するのか?現実の宇宙旅行を推進するNASAと、架空の宇宙旅行をつむぎだす『スター・トレック』とが混じりあって生まれた、新しいポピュラー・カルチャー「NASA/トレック」を通して、科学、テクノロジーと性の意味を問う。
目次
プロローグ ポピュラー・サイエンス(NASAと『スター・トレック』を書きかえる;ポピュラー・サイエンスは「科学」ではない?)
第1部 NASA神話の光と影(現実のNASA・夢のなかのNASA;象徴としての『スター・トレック』;NASAと『スター・トレック』の相互浸透 ほか)
第2部 もうひとつの『スター・トレック』(トレック・ファンたちの世界観;アングラ・ポルノ=スラッシュ・ライティング;適正技術とスラッシュ・ファン ほか)
エピローグ ポピュラー・セックス
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひるお
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NASAと『スター・トレック』という、宇宙をめぐる2つの事象から、科学とテクノロジーの世界に参入しようという普通の人々の意志、よりよい社会の創造に寄与する科学を夢見る姿勢について丹念に検討したカルチュラル・スタディーズの書。スラッシュ・フィクションについての論考が読みたくて手に取ったのだが、男性同性愛ファンタジーを通して人種差別や女性差別を批判し、理想的な男性像を描こうとする「スラッシャー」たちの営みには、溝口(2015)が論じたBLのコミュニティと共通するものが感じられた。2019/07/08