内容説明
どんな病気でも治す超ミニロボットから、ステーキ、ワイン、ダイヤ、自動車などなど…お好みしだいのものを原子一個の狂いもなく作り出す驚異のナノテクノロジー。一九五九年にファインマンが予言し、懸賞金まで出して探究をうながしたこの革命的テクノロジーは、天才エリック・ドレクスラーの登場で、一気にシステム工学として現実的なものになった。ハイパーテキストのテッド・ネルソン、『電脳生物たち』のハンス・モラベック、バックミンスター・フラーレンのリチャード・スモーリー(1996年ノーベル化学賞受賞)など先端科学のトップランナーたちの支持と、分子生物学、コンピュータ技術、顕微鏡工学、宇宙工学など広範な科学技術の成果を糾合しながら、市場システムや人間の価値観を根底から覆す、ナノテク大転換の時は迫る。
目次
ナノ氏ワシントンに現る
kTの皮肉
古いテクノロジー
世紀の大破局
「ファインマンはいっぱい食わされた」
永遠と雲と
エリック、ファインマンに会う
エリック師のナノテク・リバイバル
ふくれあがった微小計画
アストリッドとプリシラ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
71
ナノテクノロジーの科学読み物。画期的すぎるこの技術の提唱者エリック・ドレクスラーの評伝でもある。80年代に彼が発表した、分子レベルを操作するナノロボットを作成することで、どんなものでも製造でき、不老不死も可能とするSFじみた構想は熱狂的な支持と反発を受けた。この本は1995年にでたもので、ナノテクと彼への夢ややや楽観的な視点があり、当時の進行形のリポートだが、30年以上過ぎた現在では一つの無謀な夢想でしかない。しかし、不遜ともいえる神に近づこうとする科学万能主義のワクワクを読者に抱かせる面白い読み物だ。2017/12/06