内容説明
ダーウィンが進化論を発表して以来、約150年。その間,ダーウィニズムを常に脅かしてきた二つの難問があった。「性選択」と「利他行動」だ。ダーウィンやウォレスはこれをどのように解こうとしたのか。20世紀前半の進化論者は、どのようにこの問題を扱ってきたのか。そして現在、ドーキンスやメイナード・スミスらによって確立された新しい進化論は、どのようにして解決の道を見いだしたのか。生物学界で今なお議論の続く、最もホットな話題に挑んだ刺激的論考。
目次
1 ダーウィン理論とその対抗者たち・転向者たち(人間は「生きた古文書」だ;ダーウィンが存在しない世界;過去のダーウィン理論・現代のダーウィン理論;生物に刻印されたデザインの問題)
2 クジャク(クジャクの尾羽の問題;自然選択だけですべてが説明できるのか?;雌は本当に雄を変えられるのか?;分別のある雌はセクシーな雄を好むか?;実験結果は性選択論争に決着をつけたか?;克服された「ダーウィニズムの亡霊」)
3 アリ(現在、利他行動はどのように解釈されているか?;かつて、利他行動はどのように解釈されていたか?;社会性昆虫の問題:心優しき兄弟姉妹;「闘わずに仲良くしよう」:儀式的な闘い;ヒトの利他行動:それは自然なものなのか?;異なる系統間の繁殖をめぐる議論の歴史)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
4
ダーウィンとウォレスを中心とした生物学史の本かな。個人的にはちと長すぎた。2014/02/04
A.Sakurai
3
本書は実研究ではなく,ダーウィンとウォレス以来の進化理論で大きな問題となった2つの題材,性選択と利他行動についての論争史.著された1990年代初期時点でほぼ決着は付いたとされている.そこに至るまでに提案された理論を詳細に取り上げて,論理,視点,背景にある思想,どこを間違えたのかを解題していく.著者の本業は科学哲学なので理論構築への突っ込みは厳しく,文章は長く,ロジックは難解で読みにくい.取り上げられる多くの進化理論は自分では一応わかっていたつもりだが,その論理構成までは実は理解していなかったと感じる.2020/03/15
v&b
1
超速で読んだ。不満たらたら。基本冗長で、情報密度低い。説明下手。構成に難。第一章にあるとおり、第一部は一般読者に不要だろう。「ダーウィン論」や業界トークはどーでもいい。抽象的過ぎると感じた。副題の「クジャクとアリ」について、もっと具体的なことを知りたい。文献の引用だらけで抽象的過ぎる。力作論文という感じかな。グルメ批評(この文章もそうだが苦笑)、揚げ足取りに腐心していて、書き手の作品になっていないと感じた。シューティング・スポットから賭け金ゼロで儲けを得ようとしている感じ。読ませない本だったなあ。メモ:不2012/09/11