内容説明
本書は、人間の五感をテーマにしたエッセイ。胎児も痛みを感じるという話に始まり、自らに桎梏の鞭を与える修業者の話、電話にまつわる少年時代の想い出、聖人の放つ芳香の話、露出症と窃視症について、トウガラシソースが大好物だった父親の話などが次々と展開。
目次
触覚(痛覚の不思議;痛みを求める;触覚が感じること)
聴覚(黒い電話の思い出)
嗅覚(彫像に命を与えるコンディヤック;よい匂いとよい人の匂いについて;悪臭について;喚起的でエロティックな匂い)
視覚(眼の周囲にあるもの;魅入る眼;魅入る眼の病理;盲目の物乞いの想い出)
味覚(トウガラシを食べる人の想い出)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
7
触覚から始まり味覚に終わる五感に関するエッセイ集。作者は病理学者であり、彼の文章は科学的な根拠に基づきつつも同時に個人的な思い出の数々を披瀝している。幻覚痛のことや、町に一つしかなかった黒電話のこと、聖人の発する匂いについてなど話題は多岐にわたっている。そうした文章を読みつつも、読者は「人間の感覚」という客観的に数量化できつつも、きわめて主観的な認識対象について不思議な思いに駆られるかもしれない。終章の「味覚」では彼の父親が登場し、唐辛子の辛さを通して彼の父の強い個性がありありと喚起させられた一篇だった。2013/02/28
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