内容説明
「波動方程式」を完成し、量子力学の歴史に大きな足跡を残したエルヴィン・シュレーディンガー。「猫のパラドックス」を案出し、ボーアらの“描像なき理論”を強く批判したことは、よく知られている。一方で、著作『生命とは何か』で分子生物学の出現を予言し、また一方で、古代インドのヴェーダンタ哲理をもとに精神と物質の一元論を唱え、生命論から倫理学までを網羅する幅広い哲学を展開したシュレーディンガー。その思想と遍歴の生涯を紹介する、初の本格的伝記。
目次
第1章 ウィーン世紀末とウィーン精神
第2章 エルヴィン少年の夢
第3章 知への挑戦
第4章 オーストリア帝国の崩壊
第5章 探究の道
第6章 遍歴の果てに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐藤一臣
8
シュレーディンガー方程式の本質や解き方がわからずどうにもならなかったので、シュレーディンガーの伝記を読んだが、結局方程式の本質や解き方のヒントになるものすらなかった。発見の経過を辿ることで手掛かりを得る手法は失敗。たらだ彼は「好きなことで生きる」を生涯に渡って実践し、波動と決定論と一元的な統合に向けて世界や宇宙を解くという在り方を愛してやまなかったのだと分かった。とりあえず、さらに伝記や自伝を読むつもりだが、偏差値50程度の頭の人に理解できるような書物はかなり少ないのが理系の世界なんだね、残念2022/03/20
ももんが
0
理数系は大の苦手ですが、お名前だけは知っていて、思索と生涯というタイトルで手に取りました。本の真ん中の部分に「写真で綴るシュレーディンガーの生涯」というパートがあり微笑ましいです。物理はもとより生物や哲学にまで彼の知と思索が及んでいるのが驚きです。 物理の部分がわかればなお理解が深まるのに、と自分の無明を残念に思いながら読みました。2019/07/23