内容説明
プラトン、ケプラー、シュタイナー、ケージ…。精神史の奥底に連綿と流れる神秘的音楽の伝統。音楽は、つねに宇宙を映す鏡であろうとし続けてきた。神話・伝説から天文学、現代芸術まで、博識ゴドウィンが「思弁的」音楽の世界を渉猟。
目次
第1部 昇りゆくパルナッソス(音楽の驚くべき効果;秘められたハーモニーを聴く)
第2部 偉大なる仕事(音楽の錬金術;音楽と時間の流れ)
第3部 天球の音楽
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
兎乃
26
ゴドウィンは「キルヒャーの世界図鑑」の著者。音楽史という体系化された予定調和的記述ではなく、哲学・数学・宗教学・神話、さらに神秘学から占星術まで総動員して「音楽」の本来あるべき姿の復権をかけた試みの書。1987年に出版され、プラトン,ピタゴラス,ケプラー,バッハ,シュタイナー,ケージ、グノーシスの音楽やイスラムの共感覚まで、その思弁的音楽世界を渉猟。注記/参考文献も豊富で、21世紀の音楽的ルネサンスを視座にしたゴドウィンの博覧強記が楽しめた。ただし、→2013/03/27
左手爆弾
2
一言では汲み尽くせないほどの博覧強記な本であり、読んで何かを学ぶということ以上に、この本の世界に浸ることも要求してくるような本かもしれない。最初は音楽の持つ「魔力」から話が始まる。音楽によって人間や鉱物は「動く」。そうした物語は古来から多く語り継がれ、近代でもなお力を失っていない。音楽の持つ魔力とは、つまるところ、自然を支配している上位の秩序なのであり、人は音楽を通じてその秩序にアクセスすることができるのである。音楽の効果はプラトンや毛沢東が国家や社会を論じるときにも、重要な意味合いを帯びていた。2017/12/18
Hiro Iwatani
0
それ自体は何ら音を発しないがすべての音がそこへと収斂してゆくような静寂が存在する!2016/12/15
Takashi Edamoto
0
「キルヒャーの世界図鑑」のジョリス・ゴドウィン。 音楽史ではなく、秘教的な神話、数学その他のジャンルを絡めての音楽とは何かを問いかける。 多くの考察や歴史的な経緯を語るが、かなり難解(いらない所での改行や、主語の省略が見えるので翻訳者の問題か)。 結論は無いものの、この手の考察、研究書としては唯一のものではないだろうか。2014/08/20