内容説明
シェイクスピアの『ソネット集』が捧げられたW・H氏をめぐるワイルドの推理は、1部からは「芸術家の気まぐれな空想」と批判されもしたが、ワイルド独自の説の自由な解釈には見るべき所が多い。気鋭の研究者による解説・訳註も充実。
目次
偽りの肖像
ソネットは語る
少年俳優
友愛の哲学
芸術の意味
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Saint Gabriel
7
非常に精神的な何かを感じた作品。真相はさておき、シェイクスピアとワイルドの文芸に対する姿勢や情熱が感じられた。2016/09/16
とっても
0
ソネットの詩人と彼はお互いのものになった時期があったり、離れたり、どういう関係なのかと思っていたが、劇作家と役者という立場だと詩がイメージしやすかった。真実かは別として。シェイクスピアの時代、男性の間では性愛ではない知性を通した相互理解に基づく真の友愛を心棒する思想があったということなら、あの熱烈だけどプラトニックな詩もなるほどと思った。主人公が熱病のようにシリルの説を検証し、アースキン宛に自説を書き上げた瞬間、それが妄想に思えてきたというのが、なんともリアルだった。2021/07/29
ふゆきち
0
あくまでフィクションですので結構強引なところはありますが、W・H氏の正体に至るまでの道筋が面白く描かれています。芸術論としても興味深い。2020/08/24