出版社内容情報
盆栽、犬や猫、ハーレム、宦官……自然をねじ曲げ、動物を作り変え、人間を道具とし、そして可愛がる権力者の愛と力。文明史の蔭にひそむ、この愛と残酷こそが創造力の源泉だった!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハチアカデミー
13
ヒトはなぜペットを飼い自然を愛玩するのか。古今東西の事例からその心性にせまる。水の自然な流れを変える噴水、樹木の生長を歪ませる盆栽や庭園、観賞用に生み出された「出目金」、家畜の誕生などなど、自然を加工し支配しようとしてきた行為の数々が紹介される。西洋画に描かれることの多い小人たちも、動物並みの扱いは受けていなかったものの、愛玩の対象であったという。各節が短く、エッセイ調の語り口なので読みやすいが、それぞれに奥が深く、動物・自然といった他者との関係の多様性を考えさせられる。安易に愛といえなくなるおまけつき。2015/04/28
fuchsia
1
「可愛い」って本来は見下し目線であるということを軸に人間の欲求としての「自然の支配=愛玩物化」を例をあげつつ解説した本。動物園、とかペットの歴史、という例はわかりやすいのですが、「庭園」「噴水」などという例も。これは著者の本職が現象地理学(←?)だかららしいです。 読んだ当時は「不平等の上にしか優しい愛情が生まれないってどういうことよ!」と思ったものですが、今では「まあ、そうだよな」と思う今日このごろです。