出版社内容情報
横浜市の静かな住宅街の一角に慶應義塾日吉キャンパスはあります。
その地下にはいまも、旧帝国海軍連合艦隊司令部などがおかれた巨大地下壕が眠っています。
アジア・太平洋戦争末期、海軍は連合国軍の空襲や本土上陸にそなえ、その司令部を日吉キャンパス地下において、連合国軍と戦う決意でした。
今日、この巨大地下壕はそれを具体的に現した「モノ」として歴史の「証人」としてもの姿を遺しています。
戦後も80年近くなり、戦争の記憶を伝える手段は「ヒト」から「モノ」へと移行してきています。
大学のキャンパスになぜ、どうしてこの海軍司令部の地下壕がやってきたのか、そこで何が行われたのか……。
証言や資料をもとに、さまざまな角度から検証します。
内容説明
「新たな戦争遺跡」を作らないために!
目次
1 日吉台地下壕の概説と研究史
2 日吉の帝国海軍―連合艦隊司令部と軍令部第三部
3 慶應義塾と戦争―学生たちは何を考え、何が残されたか
4 特攻隊員・上原良司の足跡をたどって
5 日吉、鹿屋、そして沖縄―地下壕がつなぐ歴史
6 教育資源としての日吉台地下壕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Takao
2
2023年9月1日発行(初版)。横浜市港北区にある慶應義塾大学日吉キャンパス。その地下にある連合艦隊司令部地下壕。10年以上前に一度見学会に参加し、「平和文化」から出ているガイドブックも読んだ。この6月に予定されている見学会に久しぶりに参加することになり、事前学習の資料を渉猟していて本書を知る。著者は全て慶應の関係者で「大学と戦争」に焦点を当てている。知らないことも多く、忘れていたり、知ったつもりになっていた自分を反省した。軍事費を2倍にし、武器輸出に舵を切ろうとしている今、本書を読めたのは幸いだった。2024/05/22
onepei
1
モノとヒト、両方の研究・記録が必要2023/10/15
nkazu
0
日吉という地域、そして慶應義塾という学舎を中心に戦争について纏められた内容。非常に興味深く、そして時には自身の感情を揺さぶられる内容であり、読み終えて現地見学を心に誓った。2024/01/19